先日ご案内させて頂いた、こちらの中小企業様向けのメンタルヘルス研修を開催させて頂きました。

参加された企業様の多くは、産業医が常駐していない、あるいは、事業所規模が必要条件に満たないために産業医がおらず、社内での対応に悩んでいる・困っているという状況でした。
「自分たち以外にも、困っている会社があるんだと知って、ほっとしました」というお声もありました。
そうなんです。
社内のメンタルヘルス対応をされている方々は、個人情報保護の観点から、なかなか社内外で情報共有・交換できる場が少なく、自分の対応がまずいのではないかと悩んだり、心細い思いをされている気がします。
だからこそ、そういう方々が集まって、具体的なケースのお話こそしませんが、「大変さ」を共有することで、「自分だけではないんだ」と少しでも安心してもらえるといいなと。
そういう思いも込めて、この研修を企画しました。
みなさんとても熱心に参加して下さり、どの企業様も、人材を「人財」と捉え、社員を守ろうと頑張られている印象を受けました。
また同時に、「専門的な知識や経験がないためメンタル不調者や休職者対応に困っている」、あるいは「上から研修などの企画を求められているが、何からどのように始めたら良いか?」、などの声も聞かせて頂きました。
実際に、そういう企業の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
まず、そういった滋賀県内の中小企業の方々にまず知って頂きたいのは、滋賀県産業保健総合支援センターです。

こちらは、産業保健に関する総合的支援を提供する公的機関です。産業医や保健師、臨床心理士などの産業保健スタッフの支援が受けられ、なんと無料で単発相談も可能です(事前予約制)。
私もこちらのメーリングリストに登録し、国の動きや研修などの情報を得ています。もし登録されていなかったら、おすすめです。
困った時には、まずこちらに相談されることも、一案かと思います。特に産業医がおられない中小企業にとっては、総合的な支援が受けられる心強い存在だと思います。
一方、小さなオフィスBringOutでは、実際、企業でどのような支援を行っているのか?今、支援させて頂いている企業様の支援パターンをご紹介します。
BringOutでは、主に以下の2パターンがあります。
1)単発相談対応(来室または企業訪問)
2)定期的な企業内/オンラインでの相談対応
1)の単発相談の場合。
基本的には、こちらのオフィスに来室頂くか、あるいはご依頼のあった企業に伺い、対面でお伺いをするようにしています。

初対面同士でデリケートな話題を共有するため、オンラインではどうしても得られる・与える情報の質が落ちることから、より適切な判断・助言をさせて頂くために、事情が許す限り対面で対応させて頂いています。
2)の定期的な相談対応のケースの場合。
こちらは、どの企業様も月1回来社が原則で、個別面談やコンサルテーション以外に、研修やワークショップなどの依頼にも対応し、その企業様の「こころの保健室」として年間を通じて伴走させて頂いています。
定期的に伺っている企業での支援内容は、以下の通りです。
1)社内でメンタル不調が疑われる社員の個別面談
2)ストレスチェック調査で高ストレスであった社員のフォロー面談
3)休職者・復職者の支援
(休職中の支援や復職後のリハビリプラン作成やフォロー面談など)
4)セルフケアやラインケアの研修やワークショップ(小人数制)…など。


そもそもこれまで、メンタルヘルス対策を具体的に計画したことがない企業様の場合は、一緒に一から、まずはその社内に合った支援(デザイン)を考えるとこからお手伝いしています。おすすめは、やはりストレスチェック調査の高ストレス者のフォローから。
そして支援内容は、極力小さくはじめ、そして次第にその内容を必要なところから広げていくことをお勧めしています。支援とは言え、大きな変化は社員の方々を不安にさせますし、何よりその担当者の負担も急増させてしまうからです。
また3)は、私が復職支援施設に勤めていた経験を活かし、休職中から復職後の安定期まで、復職計画を一緒に考え、丁寧にフォローさせて頂いています。これが、休職者の不安を緩和し、再発や離職予防にもつながると痛感しているからです。そのため、ご本人だけでなく、職場(特に上司)の支援も大事にしています。
2)や4)は、その支援のみを単発利用される企業様もおられます。
4)の研修内容は、セルフケアやラインケア、新人研修やコミュニケーションなど、その企業のお困りごとやニーズによりさまざまです。単発であっても、事前に担当者に会いに行き、一緒に研修内容をデザインし、そこならではのオリジナルな内容を作るようにしています。
しかし個人的には、上記4つの支援は、その企業様について学ばせて頂きつつ、お互いの信頼関係を育てながら、一緒に社内のセーフティーネットを広げていくような支援展開が理想と考えています。
そのため、今入らせて頂いている企業の多くは、毎月来社させて頂く関係の中で、各組織に合った支援をさせて頂いています。その方法も社内の担当者の方々と一緒に考えて、実施するようにしています。
主役は、その人事担当者。
私はあくまで、後方支援。
「後方」と言っても、必要時には一歩前に出る、そして振り向けばすぐ横にいる、そういう柔軟な「後方」支援です。
実際、来社日以外にも担当者からメールやお電話を頂くことが度々あり、
ちょっとしたことでも、遠慮なく連絡を頂ける「保健室」的な関係を目指しています。
それでも、なぜ「後方」なのか?
やはり社内を良く知る人事担当者が、一番社内のリソース(人的・環境的資源)をご存じで、その方なくして、私は社内でパフォーマンスを発揮できないからです。
私は確かにメンタルヘルスに関する心理的な側面の専門家ではありますが、そこの組織や現場の専門家ではありません。そのため、私が社外から入って一方的に意見・助言するのではなく、むしろ社内の事情・実態を教わりながら、担当者と一緒に知恵を出し合って進めていくものと考えています。

どのケースでも、基本的にはBringOutを利用頂く前に、まずヒアリングさせて頂き、プランを提示させています。
私の仕事はなかなかイメージがしにくく、また支援する企業によっても、内容が千差万別だからです。そして、私に「できること」と、「できないこと」をきちんとお伝えするためでもあります。
そのためヒアリング後、その内容をもとに私がその企業に合ったプランを作成させて頂きます。後日、もう一度社内でその内容を協議して頂き、その上で支援を開始させてもらうようにしています。
仮にその協議の結果、BringOutを利用しないということになっても構いません。何か困った時に、「かけこめる先を知って頂けた」ということが、私のミッションにつながると思っています。
私のミッションは、
働く方々個人のメンタルヘルスを守ること。
そして、
それを守ろうとする企業を後方支援すること。
焦らず、確実に、じわじわと。
社内でのメンタルヘルス対策も私自身の活動も、劇的に効く薬というよりも、「漢方薬」のような効き方・存在であるといいなと願っています。
単発利用での「点の支援」も、お付き合いしながら伴走する「線の支援」も、どちらも大切にしたいと考えています。企業のサイズやニーズが多彩だからこそ、小さなオフィスBringOutがフィットする!と自負しています。
何から始めたらいいか分からない。
そもそも、どんな支援が社内に必要なのか?
当社の場合、どんな支援をしてもらえるのか?
そうしたことに対するヒアリングや、その場で簡単にお答えできる範囲での回答や助言は、無料で行っています(ただし1回限り)。
もしご興味がありましたら、ホームページのお問い合わせ欄よりご連絡ください。
滋賀県の困っておられる中小企業の「こころの保健室」として、社員を守りたい企業のみなさまのお力になれたらと思っています。