企業と個人の橋渡しを

今日は、午後からZOOMでセミナーに参加していました。

参加したのは、さんぎょうい株式会社主催の 『 働き方大変革時代に
おける産業保健職の価値とは? ~求められる産業保健職像~ 』という
もの。

人事担当者や企業の健康保険組合の方、産業医の方が、それぞれの立場
で産業保健職に求めること、期待することなどについて話されていました。

なかなか、自分が関わらせて頂いている企業以外の取り組みや、異なる立場の方から、私たちのような立場の人間が社内でどう見られているかといったお話を伺うことがないので、貴重な機会でした。

その中で、私がそうそう!とうなずいたのは
「産業保健職は企業と社員をつなぐ人」という言葉。

思えば、私もいつも「橋渡し」をすることをミッションに掲げてきました。

「病院」と「企業」
「企業」と「個人」
「病院」と「個人」

企業に入らせて頂く時、「企業が個人に」求めるものと、「個人が企業(組織」)に求めることが一致しない時があります。

特にそのずれが大きくなるのは、メンタル不調者への対応時。
特に、休職された方が復職する時、あるいは復職してしばらくたった後。

休職者は、病院の中では「患者さん」ですが、ひとたび組織に戻れば企業側から見れば「従業員」です。

従業員=働く人。労働を提供する人。
つまり働ける人、という捉え方になります。

しかし実際は、病状(症状の回復度)で見ると、主治医が「復職してもOKです」という診断書時は、「6~7割程度の回復」であり、「職場に戻って仕事に戻る練習を開始していいですよ」という証明。

つまり「回復しましたよ(=以前と同様に働けます)」という証明ではありません。

ここをご存知でない企業が復職してこられる従業員(個人)に求めることは、当然「以前に近い状態」となり、「3か月たっても以前と同じ仕事ができないって、どういうこと⁉」と驚くことになります。

これは、企業側が悪いのではなく、病気について・接し方について「知らない」「分からない」ことが背景にあります(そうではない残念なケースもありますが)。

もちろん、企業の規模・業種、あるいはそこの企業風土によっては、「完全に回復してからでないと困る」「そんなに待ってられない」という厳しい目・現実があるのも事実です。

ですが、従業員は貴重な人財。その人の経験や知識を失いたくないと考える企業にとっては、「休職者」もやはり人財。そのため、当然支援しようと考えます。

そんな時に、企業と従業員の関係作り(=対話)を橋渡しする。
それが、大切な私の役割です。

しょせん、私はその「企業(組織)」の、その「仕事(実務)」のプロではありません。それについては、やはりその方(休職者)、その方の上司、あるいは人事担当者のほうが、間違いなくプロ。

ですので、あくまで私は裏方。
社内メンタルヘルスチームの一員です。

その企業・部署にとって、その方にとって、一番良い働き方を探る、その対話を円滑にすることが、私の仕事。

ですが。

私が「正解」を持っている・知っているわけではありません。
そして、その企業・個人、どちらかが「正解」を持っているわけでもありません。

正解ではなく、企業・個人とが対話の中で「最適解」を見つけていく。
それが「正解」です。

目的・立場も異なる、ある意味で「共通言語」をもたない両者(企業・個人)が対話をすることは、なかなか難しいものです。

特に数の上で、さらに「休ませてもらった」負い目を持つ個人にとって、
企業(組織)・上司との対話は、かなりのプレッシャーになります。
企業が本音を知りたくても、なかなか話してもらえない(話せない)のも、当然です。

だからこその「橋渡し」。
私の出番。
第三者だからできること、だと思っています。

コロナだけでなく、「労働」を取り巻く環境はどんどん変わっていきます。
それぞれの企業にとっての「メンタルヘルス対策」の最適解があると思います。

これからも、求めて頂ける企業と対話を重ね、その企業とそこで働く
個人の「健康に安全に働く」ための最適解づくりを支えていきたいと
思います。


この記事を書いた人