産休・育休明けの復職支援を

昨日は私と同じく「働く女性を支援する」また「働く女性を
支援する企業を応援する」という点において共通する想いが
ある方とお話をさせて頂く機会を得ました。

そのお話の中で。

女性はライフステージごとに、人生の岐路に立たされ、
その度に悩み、心理的危機を越えていかなければならないこと。

その時に、自分を見つめる時間やそれを支える人・場所がどれく
らいあるかによって、そこを越える苦しみやその後の豊かさが変
わるなと改めて感じました。

例えば、結婚・出産・育児・仕事・更年期・親の介護などなど…。

人の数だけ選択の数があり、どれが正解とも言えない難しさと、
それでもあきらめずに自分にとっての最適解を探すこと、その過
程が最終的には自分のらしさ、人生に対する満足度につながる気が
します。

今回話題に上がったのは、その中でも大事な選択・危機の一つ。
「出産後の復職・社会復帰」について。

私は仕事も子育てもあきらめたくなくて、紆余曲折の末に今があり
ますが、子どもを抱えつつ社会復帰する時の「喜び<不安」の日々、
「もう無理!」と座り込んだ夜を今でも思い出します。

復職後の仕事と育児の両立の大変さは、誰にとっても共通するスト
レスイベントで、特に最初の1年は特に嵐の日々。

私は一昨年まで、うつ病などで休職された方々が復職するためのリ
ハビリを行う施設で、常勤職員として5年間働いていました。

実は私にとっても、その職場がまさに復職支援施設。
子どもを抱えてフルタイム職員として働く、社会復帰の第一歩の
臨床現場でした。

その時に感じていたことは、うつ病などで休職されて復職してい
く過程は、産休・育休明けの女性が復職していく過程にも似ているなと。

休ませてもらっていたのだから、その分遅れを取り戻さなくては。
プライベートの大変さは、職場に持ち込んではならない。
みんな大変なんだら、私だけ大変とは言えない…などなど。

復帰後2週間~1ヶ月は、五里霧中。

復職して1ヶ月も経つと、周りのお客様モード(慣れていない人扱い)
は消失。

半年たつと、周りの人との関係性も白黒はっきりしてきて、よくも
悪くも、周りが見えるゆとりもでてくる。
慣れもしたけど心身の疲れがどっと出るころ。

やっと慣れてきたかなあ、と落ち着いて自分を見れるには1年かかる。

復職は大変。
だから企業側も時短勤務などでフォローはしてくれる。
だけど、会社を出た後の「育児と家事」(プライベート)の大変さは、
自分でなんとかするしかない。

同じ境遇・大変さを分かち合う人が身近にいればラッキー。
復職後は今までと違って、働いていないママ友と会うタイミング
もない。
働き始めると、それまでの時間の使い方と違って、土日は平日の
しわ寄せの後処理(家事)で終わる。

復職のそうしたプライベートな大変さこそ、その方のメンタルヘル
スを危うくするのに、それを吐き出す場所・時間が確保できない。
自分より子ども・仕事。
それが当然の現実。

職場には、なかなかプライベートを持ち込めない。
子どもが病気をするたびに、頭を下げてお詫びの日々。
職場にこれ以上、迷惑はかけられないと、プライベートなしんどさは
話せず。

だけどもし、仕事の一環として職場がその大変さをケアする時間・機会を、その社員に与えたら?

それがメンタルヘルス対策、あるいは育児と仕事の両立が難しくて
職場を去ることを防ぐ、新たな取り組みにならないだろうかと。

産休・育休明けの社員さんが、数カ月に1度でも、最初のもっとも大
変で孤独な1年間をケアできる場・同じ立場の社員同士で対話できる
機会が持てたら。

しかもその機会・時間を企業側が復職後のストレスケア研修として、
社員に場を提供したら、きっとその社員さんたちは、職場から復職を
応援されている安心感を抱くのではないか。

その企業で、これからも頑張っていこうと思えるきっかけになるので
はないか。

そういうプログラムを、各職場に点々といる孤立しがちな復職したて
の社員さんを集めて提供し、つい後回しにしがちな自分をケアする時
間と、働き続けるためのエネルギーを補充する場を作れたら。

この産休・育休明けの復職支援プログラムを企業と企画・運営すること。
働く女性を応援する、新しいストレスケアの形。
これは私の夢の一つです。

これからは女性も男性と同様に働き続ける社会に。
私たちの親世代より、ずっと育児に積極的な男性が増えました。

それでも、男女平等とは言いつつ、やはり産後、女性が抱える育児や家事
の負担は、いろいろな事情で減ることはありません。

また最近、独身男性による親の介護のための離職・失職も問題になっています。

いろいろな夫婦・家族の形があるからこそ、いろいろなプライベートな悩みもあり、それは働き続けることを難しくする大きな障害になることがあります。

企業におけるメンタルヘルス対策が、精神的疾患の予防だけでなく、こうした誰もが抱えるライフステージの危機にも寄り添い、社員の方々の働きがいを支えことにも力をいれていくこと。

それが、最終的には企業にとって、大事な人財を守る対策にもつながるのではないかと考えています。

こうしたことにご興味がある企業の方、いらっしゃいませんか?

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