メンタルヘルス対策は「病気予防」のためのもの?

メンタルヘルス対策というと、どうしても「うつ病」などの病気の人を早めに見つけて対処する、というイメージがあると思います。

確かに、それも重要です。

が、メンタルヘルス(=精神的健康)は、「病気」だけが対象ではありません。普段の仕事上の「パフォーマンスの向上」であったり、仕事の質を高めるための「コミュニケーションの向上」につながることも含みます。

なので、「うつ病」などの病気やストレスがどのように心身に影響を及ばすか?どのようなサインが出たら危険か?などの研修も大事ですが、そもそもそうした不調に見舞われた時に、安心して上司に相談できる「環境づくり(=関係づくり)」も、同じくらい大事だと考えています。

では、相談しやすい環境・関係とは?

一言で言えば、普段から良くコミュニケーションをとっている、あるいはとりやすい関係性ができていること。その上司が、メンタル不調に対して偏見や抵抗がなく、「この人なら大丈夫」と部下から思われている人であるかどうか。

メンタル不調という、人にはなかなか言いにくい事柄を話せる関係は、結局、普段の関係性がものを言います。そして話しにくいことも話せる関係とはメンタル不調という事柄に限らず、仕事上の困りごとやバッドニュースなどの早めの報連相ができる関係。ひいては、仕事のスピードや質を高めるコミュニケーションができる関係ということになります。

面談でメンタル不調の方々と面談しますが、おもしろいことに、その方々が最初に「困っている」と相談しているその方の多くは、普段から「おしゃべりな関係」である友人・同僚ではありません。その人が普段の会社生活のどこかで「この人なら聞いてくれる・大丈夫」という安心感を抱いた、案外ちょっと遠い相手である、ということです。

つまり、「相談しやすい=よくしゃべっている」関係とは限らないということです。

そうした「関係作り」やそのための「コミュニケーションのスキルアップ」といったことにお金をかけて研修する企業は、それほど多くありません。ですが、「メンタルヘルス対策」の根っこには、そうした仕事を円滑にするコミュニケーションのスキルアップも含んでいると捉えて、研修やワークショップを依頼してくださる企業もあります。

来月から、今関わらせて頂いている企業で、「ケアを含めた部下とのコミュニケーション研修」を座談会方式で開催させて頂きます。まずは、職場の悩みごとに対してゲートキーパー的存在にあたるポジションの方々とつながる仕組みを作っていきます。顔が見える関係、これも相談しやすい環境づくりのポイントと考えています。

その方々の職場での何気ないコミュニケーションは、いざという時の「セーフティーネット」になります。業務上のトラブルも、メンタル不調も、同じコミュニケーションの中で発生し、また発見されるものです。

私がその方々とつながることで、またみんながケアを含めたコミュニケーションを意識して頂くことで、広くやわらかな網が張られ、そこに落ちてくる声を早く拾い上げることができます。

部下に安心して言いにくい事を言ってもらえるコミュニケーション、それがひいてはメンタル不調をも早く見つけ、その後の業務への支障を最低限度に抑える、つまり「ケアを含めたコミュニケーション」につながります。

では、具体的には?

そのコツは、またこちらのブログでご紹介していきます。

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